高能率搬出システム

佐久地域の素材生産業者(山から材木を出す人たち)が発起人となり、佐久地域高能率搬出システム開発グループが設立されました。要林産はまだろくに材木を出すことができないのですが、昨日、その設立総会に出席しました。経済的に入会金を払うことができない状況なので、信州そまびとクラブのふんどしをお借りしての出席でした。

 このグループでは、今後新たな機械システムの導入などを検討するために、機械デモを依頼しての勉強会はもちろんのこと、すごいのはおたがいの現場を見せ合う、ということも行うそうです。初代会長は森林組合、事務局と副会長は有限会社という布陣なので、生産業者のヨコの結びつきが強くなることは間違いないでしょう。今後が楽しみです。

 役員、規約や予算の確認の後、来賓挨拶に続き記念講演が行われましたが、この講演が実に時宜に合った重要なものでした。講演したのは林材ライターの赤堀楠雄さんで、近ごろの国内の新生産システムの動きや、大規模に木材を扱っているプレカット工場の情報やその工夫などを、画像によりわかりやすく説明していただきました。

 最後に、全国の林業を俯瞰している赤堀さんならではの重要なメッセージがありました。そのひとつに「現在の国内の人工林は伐期を迎えているものが多いが、ここでもし国産材が動き出して、持続的に木が必要になった場合、今の伐期齢の分布のままでは対応できなくなる。林業界は未植栽地問題を含め、次のアクションを考えて行動する必要があるのではないか」というものがありました。これは業界のみでなく、日本社会存続の根幹を成すものともいえることなのですが、はたしてこのメッセージを会場にいたどれほどの業者が「自分のこと」として感じてくれたのか、もしかしたら「伐ったあとは行政が考える、だからこのメッセージは出席している行政へのものだろう」という先入観を持つ人がいるのではないか、そんな心配をしながら会場を後にしました。

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“高能率搬出システム”への コメント ( 8 )

  1. アカホリさんの コメント

    あの後の宴会は午前1時まで続きました。2次会までいた人の全員と話をしましたが、いろいろな話が聞けて楽しかったです。次は会員の人たちの現場をすべて回るのを目標にするつもりです(せっかくフリーパス?をもらったので)。それにしても、3石さんは熱い人ですね。とても好感を持ちました。

    かなめさんが引用してくださった私のメッセージですが、当日はけっこう舞い上がっていて、みなさんにきちんと伝えられたかどうかを心配していたところでした。少なくとも、かなめさんは受け止めてくださったようですし、わかりやすい表現でまとめてくださって、ありがとうございます。あそこで言いたかったことをまとめた記事がwebで公開されていますので、ご一読いただければ幸いです(前にもお知らせしましたっけ?)
    http://kino-ie.net/akahori_071.html

    来月、東京でお会いするのを楽しみにしています。

  2. somanbaさんの コメント

    流通経路を省き、プレカット工場へ直接大量の木材が動き、また需要の情報もそこへ集約されるという新たな潮流の一方、山から自分の目で材を仕入れ、在来の職人的工務店の木組みの技術を絶やさず木造住宅の需要を獲得していこうという流れもあり、木を使っていこうという消費者の多くは後者を利用しているのだと思います。
    講演時間が足りずにハショられた部分には、消費者に木を使ってもらう為の取組みの部分が残されていたんではないでしょうか?
    いずれにしても1時間ではとても収まり切れないもったいない講演会でした。

  3. かなめさんの コメント

    アカホリさま
     講演おつかれさまでした。そうですか、日付が変わるまでお付き合い
    いただいたのですね。これを機に、佐久林業の近代化にぜひお力添え
    ください。
     ところで、これは当日のテーマ設定が理由なので仕方ないのですが、
    somanbaさんも指摘しているように、地域ならでは木の流れが持つ意味に
    ついても、当事者たちがもっと考えなければならないのではないか、という
    意見をこれからもうったえ続けてくださるようお願いします。
     先日、調査でお世話になった隣村の製材会社の社長さんに偶然お会いした
    際、「もう歳だし、体をこわしたのでやめたよ」という言葉にショックを受けました。
    地域の木にとっては、その魅力や味を最大限に引き出してくれる場所が
    この廃業したような製材所なのではないかと思っています。

  4. かなめさんの コメント

    somanbaさま
     援護射撃ありがとうございます。機械化と大規模安定供給の組み合わせと
    いう、グローバル時代の要求に対応する業者と、流域の製材所が一本一本の
    木と対話するようにコツコツ挽いて、地元の大工さんが使うという二極化。認証
    制度の調査をしたsomanbaさんだからこそ、このあたりの問題点を痛切に感じ
    られているのではないかと思います。
     宮大工のような重要建築に携わる仕事は、容易にそれが文化であることを
    理解できますが、在来の木の家を建てる大工さんや、それに伴う材料の流れ、
    ひいては山作りも立派な(しかも、モタモタしていると、こちらの方が希少に
    なりかねない)地域の文化ですから、いただいたコメントには重要なヒントが
    あるように思います。
     木を出せもしないひとり親方が偉そうなことを言うな、とやられてしまえば
    それまでですが、それでもしぶとく語らなければなりませんね。

  5. アカホリさんの コメント

    somanbaさん、かなめさんがおっしゃること、よくわかりますし、その通りだと思っています。私も「木」を見極めて使う地域文化の方により大きな共感を抱いています。
    ただ、その文化をどうすれば継承できるのか、これまでは明確な回答を持ち得なかったというのが本音です。と思いつつ、おふたりのコメントを読んでいて思いついたのですが、やはり木を使う地域文化の担い手たちも自分たちの技を次世代につないでいくための「学び直し」が必要なのではないでしょうか。例えば、ライフスタイルの変化は確実に進んでいるわけですから、木組みの技を生かしながら、それに対応できるようなデザイン力・応用力を付けるとか、そうしたデザイン力を持つ建築家らとのコラボが可能になるための意識改革を目指すとか。
    そうやって、林業者や製材、大工たちが学び直すことを通じて、「木の文化」の裾野を現代・そして次の時代に向けて広げていかないと、大きな潮流に飲み込まれてしまう。そんな気がします。
    いま思いついたばかりのことなのですが、このことをもっと洗練した表現で伝えることができるように、しばらく意識して考え続けることにします。

  6. かなめさんの コメント

     林業者、製材、大工たちと、ライフスタイルの変化に呼応する建築家の
    コラボ。今の自分の姿では、どこにも立ち入ることができそうにありませんが、
    必ずその時が来ると信じて、アンテナは磨いておきたいですね。それに感性も
    かな。
     そのためには、日頃から良いものに触れる機会が大切かとも思います。
    自分に最も欠けている部分のひとつですが、意識しすぎず、楽しみながら
    学びたいと思います。

  7. ふるだぬきさんの コメント

    赤堀さんのコメントにあった「持続的に木が必要になった場合、今の伐期齢の分布のままでは対応できなくなる。」というコメントは、私も強く感じています。

    私が、林業の世界に関わるようになって20ウン年(改めて数え直してびっくりしました)になりますが、その間常に話題の中心は「間伐」ばかりだなあとおもっています。
    そして最近、ふと気づいたのが、林業に携わる人も、行政で関わっている人も、植樹祭というイベント以外で木を植えたことがある人がほとんど居なくなっているのではないかという不安です。

    どちらが先かという議論は別にしていただくとしても、林業というのはそもそも「伐って植え、育てて伐る」事が物語の根幹ではないかと思っています。
    ところが、ここ20年の林業界は、主伐も植栽もせず、ただ間引きだけを行ってきた訳で、なんかいびつな感じがしてなりません。

    間伐と主伐の違いはあるにせよ、とりあえず林業家は伐ることはしてきたとしても、少なくとも「植える」ことはしておらず、穿った見方をすると、植える技術は、市民参加のイベントにしか残されていないのかなあ・・と怖くなります。

    いつまで経っても永久間伐を繰り返して植えない・・・これで日本の林業が回るのか・・本当に不安です。

  8. かなめさんの コメント

    ふるだぬきさま
     「伐って植え、育てて伐る」端的な答えですね。もちろん地域性もあり、実際は
    もっと多様なのでしょうが、林業体験の前説で使わせていただきます(笑)。
     植える技術(草刈もかも)が商売人の間から失われつつあることは、この地域
    では確実なようです。ですから同じブログ長屋の住人である安田林業さんの
    ところのように、苗畑の技術や育林をトータルで考えているところは、本当にすごい
    ところだなぁと思います。
     伐期齢のことで言えば、こんなことも考えられます。当地のカラマツには細い
    ものへの杭の需要が一定量ありますから、もしも細物を出せる山がなくなれば、
    当然立木一本から一本の杭ということになりかねないわけで、そうなると需要
    そのものが自ずと二次製品に移ってしまうのではないかという恐れです。そんな
    ことになれば、必死に木を使おう、使い方を考えようとしていながら、知らないうちに、
    すでに回っている使い道をひとつ失うことになりかねません。
     細物は手間がかかるわりには儲からないので嫌いですが、やっぱり「オラホの
    カラマツが支えているんだ」という土木現場がなくなるのはいやですね。

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