木を売るということ

 農業をやっている仲間から相談の電話。「今、畑の横のカラマツを
倒しているんだけど、この木は売れるかな?」

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 情報が少なすぎて即答できないので、仕方なく現場へ…。
 そして結局、いろいろな事情から、私がすべて造材をすることになり
ました。

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 この”事情”がポイントだと感じます。手短に言ってしまえば林業の
煩雑さということになるでしょうか。木を倒すのは良いけれど、そこからの
手間が大変なのです。そしてこの手間が、大きく分けてふたつある
ことに改めて気付き、かつ、ふたつ目に述べるものの方が、問題として
桁違いに根深いな、と感じた次第です。

 以下、主に同業者向けです。長くなります…。
 木が身近にならない理由ともクロスオーバーしているのかもしれません。

 ひとつは、物理的な手間。
 倒した木の枝をはらい、引っ張り出し、曲がり方に応じて規格の
寸法に裁断し、トラックに積み込んで売り先へ搬入するという、
危険や重労働が常につきまとう手間です。
 ところが依頼主の友人は、この手間については実にあっさりと
納得しており、問題視しませんでした。

 
 分析してみると、彼にとって、木を倒し現金に換えることが、畑の
貸主に貢献するというミッションをもったものである以上、外国人実習生が
居るうちは、「かかる物理労働をすることなど、農業の延長でしかない」と
いうことのようです。
 ところがです。もうひとつの手間 -それはソフト的な手間とでも呼べる
のではないでしょうか- に直面したとたん、彼の反応が激変しました。
 木の曲がりに応じた採寸のバリエーションを説明しはじめたとたん、
「材木って、そんなに面倒くさいものなんですか。とてもついて行けない。
金は出しますからやってください」という話になったのです。

 
 さらにソフト面での衝撃は続きます。納品先として、同じ村にある
製材所の存在を、村で生まれ育った彼に私は説明しなければならな
かったのです!!
 このことは、村の多くが人工林で占められている村で、すでに
カラマツ林が何の存在でもなくなっている現実を、改めて強く感じさせて
くれました。
 長くなるので、今夜はこのへんでやめておきます。 

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“木を売るということ”への コメント ( 4 )

  1. ふるだぬきさんの コメント

    林業の置かれている位置がよくわかるコメントですよね。
    「木材が循環可能な資源であり、木は売れる」
    という認識はかなり広まってきたのですが、
    立木が材木になるまでのストーリーに関しては
    ほとんど知られていないブラックボックスですよね。

    「売れる木」とは何か?
    ということに関してもこれからちゃんと伝えなければ・・・と思っています。

  2. GODZILLAさんの コメント

    納得させられるコメントです。普通の人には社会の教科書などにあるような植えて伐るまでしかイメージがなく、リンゴやレタスのような格付け出荷ということが同じ一次産品でありながら、そこはイメージされていない。長ささえ揃えりゃ売れる(言葉は悪いですが、昭和までの略奪林業で儲けていた間隔)としか見られていないし、材木になるとすでに工業製品としか見られていない。
    農業も林業も生きているものの命をもらっている産業であるのに違いがないのに。

  3. かなめさんの コメント

    ふるだぬきさん
     立木が材木になるまでのブラックボックスを、裸に
    しなきゃいけませんね。
     黙っていても誰もやってくれないので、自分でやるしか
    ありません。集材や製材の歩留まりが、もっと普通に
    語られるようになれば、木をあとでどうこうするのでは
    なく、山に立っているうちにできるだけ使いやすい、
    あるいは美味しいものにするなどの「技術」が、もっと
    真剣に語られるはずですから。

  4. かなめさんの コメント

    GODZILLAさん
     生きているものの命をもらっている産業…。とても重要な
    認識ですよね。
     社会の教科書には、もうひとつ足りないことがあると思って
    います。それは、ここのところGODZILLAさんたちにお世話に
    なっている、種や苗周辺のことです。おかげさまで、最近
    やっとそこに気付きました。
     林業が省力化の方向へ進むにせよ、こうした営みや技術は
    絶やしてはいけないと直感します。

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