山の履歴2

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 先日お伝えした、炭焼き窯の跡です。
 
 この村に移り住むよりもずっと以前、登山への興味から、タイトルに
山とつく本を片っ端から手に取っていたとき、「山びとの記」(宇江
敏勝著)という新書を読みました。
 今思えば、それが山仕事をしている人の暮らしを知る、偶然の出会い
だったのですが、そこに記されていた炭焼きの暮らしを、実際に職場の
先輩の体験として聞いたときの感動は、実に深いものでした。
 
 当時、薪と炭はエネルギーの主力で、そのエネルギー供給基地だった
村の駅からは、構内に置ききれない薪の束があふれ出し、ずっと離れた
県道まで文化薪の山が積まれていたのだそうです。
 当時の林業現場従事者の多くは、山に作られた小屋に暮らしながら
通勤することが多く、里から離れた山で炭焼きをする人たちも、山に
小屋をかけ、俵に入れた製品を数日間に一度背負い降ろすという生活を
していたのだそうです。
 
 山を買い、石を積んで窯を構築し、伐倒した広葉樹を玉切って、窯の
ところへ人力でまくり落とし、その材料を窯に立て込んで焼く。窯を
冷ましてしまうと効率が悪いので、焼いている間に、次のロットの
準備をして、これらの作業の繰り返しをしなければいけないのですが、
若いうちは遊びたい気持ちが先立ち、ついつい下界へ出たついでに
飲みすぎてしまう。そうすると次の作業が忙しくなり、寝ずに準備を
しなければならなくなる。
 
 まだ自分が生まれたばかりの頃、ここではそんな日々が繰り返されて
いたのだと思うと、この壊れた窯がよみがえり、当時の光景が目に浮かぶ
ようで、妙に落ち着かない気持ちになります。

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