年末の整理

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そまびと事務所に借りている民家は、理事長である工藤さんのお宅の離れです。そして江戸時代からある土蔵が、いわばなし崩し的に機材置き場に利用されています。この土蔵があるおかげで、そまびとは日々の事業に支障をきたすことなく活動を続けることができています。

 大きな現場が終わったときや、暮れには、ここに集められているゴッタク(東信地方でガラクタやゴミを含んだいろいろなもののこと)を整理します。

 ここに写っている草刈機は、そまびと機材のほんの一部分です。
 もしも林業で起業を考えている方がいましたら、こうした機材を収納するための十分なスペースを考えておかないと、後でとても手間のかかることになりますので、老婆心ながら一言お伝えしておきます。

学外ゼミのみなさんを案内

東京農業大学林学専攻学外演習ということで、森林政策学研究室のみなさんを案内しました。

 調査研究の対象は、「中山間地域における地域資源の現状と農林が一体となった環境整備のあり方」ということで、川上村役場での聞き取りと、南佐久南部森林組合での聞き取り。林業者住宅、林業センター、川上村文化センターの見学などにお供しました。
 
 ゼミでテキストとしてとりあげた地域経営と内発的発展(農文協)という本に、この村の高原野菜生産のことが取り上げられていることが視察のキッカケだそうです。

 村人でありながら知らずにいた「おらほの村」のことを、たっぷりと聞かせてもらうことができ、この村の持つ人的なエネルギーの秘密について考えたり、役場の課長と森組の係長の口からこぼれた、村人のカラマツに対する感覚が、偶然にもまったく同じだったことなど、想像していたよりも中身の濃い、収穫のある一日でした。

 農水省では、山村で起こっている野生動物と人の軋轢の問題を、農林一体で考えることで解決する道を模索している、という話もうかがい、案内と称していちばん勉強させてもらったのが、私自身でありました。

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森林組合の会議室での聞き取り。真ん中は昭和59年(1984)製造のペレットストーブ

来年度の助成金の説明会

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あるNPOの神様と呼ばれている人が書いた本だったと思いますが、NPOを運営する場合、収入の中のバランスが重要であるということが述べられています。

 それはおおまかに、事業収入、会費収入、そして助成金収入の三つに分けられるということで、これらのどれかが突出することなく、バランス良く運営の原資となっていることが、健全なNPO運営のためのひとつの大切な条件だということです。

 しかるに! 信州そまびとクラブはまだまだ事業収入の割合が圧倒的に大きい。これが今持っている大きな悩みのひとつです。
 
 世間には、行政が行う助成事業や、企業や団体が社会貢献を目的に用意しているさまざまな助成金があるのですから、これらをもっと有効に利用することで事業展開に活かしてゆく。そんな夢を実現するための説明会に行ってきましたので報告します。

 平成19年度地域発元気づくり支援金についての佐久地域での説明会会場は、ザッと100人を超える方の熱気でいっぱいでした。実はこの支援金は、私たちが今年「森林で学ぶセルフケアプログラム」や、「ふるさの森林づくり講座」を開催する際に県から受けた「コモンズ支援金」の新バージョンなのです。ですから、なんとしても外せない大切な説明会ということで、午後の現場をストップして、職員3名で聞きにいきました(べつに人数が多ければ良いというわけではありませんが…)。

 ソフト事業の場合は補助率 10/10で、ハードに対しては補助率2/3という、利用側にとってありがたい設定ですし、実施2年目ともなると、あちこちで評判を聞きつけたり報道されたり、その効果も次第に目に見えるようになったこともあり、団体からの説明会参加者は以前よりも増えているとのことでした。

栗の床板

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ふるさとの森林づくり講座1でお世話になった地元の株式会社新津組さんが、OMソーラーの展示を行ったので、見学してきました。

 実は、信州そまびとクラブの監事をお願いしている方のお宅がOMソーラーなので、太陽熱を有効に利用する理にかなった方式である、ということはよく知っていたのですが、今回、建築に携わっている方から直接解説を聞くことができ、改めていろいろな点で関心させられました。聞くところによると、私たちの暮らす東信地域産のカラマツで建てられた和田村立和田小学校などは、学校そのものがこのシステムで暖をとっているとのことで、ずいぶんとポピュラーな方式になりつつあるのではないでしょうか。

 そして、私にとっての最大の関心事、というか感動したことが、一階部分一面に張られた栗の床板でした。落ち着きのある色調が、上の小さな写真でもわかっていただけるのではないでしょうか。このように自由設計でどんどん国産の、しかも地元の木が使わるようになることは、私たちの最大の願いです(いつか、自分自身で切り出した材が直接建築の現場で使われるようになることを夢見て、毎日せっせと木を切り出しています)。

 栗の床の窓側には、OMソーラーの温風吹き出し用のルーバーがあります。地元の材木で建てた家に、自然エネルギーや循環型エネルギーを使って暮らす。お洒落な生活だと思いませんか。
 
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家の中に空気を循環させたり換気したり、時にはお湯までとってしまう心臓部。ハンドリングボックスと呼ぶそうです

振動病検診

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はくろう病という言葉を知っている世代は、何歳ぐらいの人まででしょうか。
 昨日は年に一度保健所で行われる、地域の振動病検診に行ってきました。

 受付開始時刻の8時半に会場に行ってみると、そこはもう検診をまつ佐久地域の山師たち約30人でごったがえしていました。そまびとクラブを受け付ける日以外にも、検査は5~6日間行われるので、単純に計算しても述べ100人を超える人たちが検診を受けるということになりますね。

 検査の最後に、医師による総合診断があり、私は要観察ですが、今のペースで仕事を続けても大丈夫、と言い渡されました。

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指の動きを測る「タッピング」という検査です。こういうマシンがあるのも、林業のある地域ならではでしょうか

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一定時間つめを圧迫したあと、皮膚の色がもとにもどる時間を計測する「つめ圧迫」という検査

しゅん工検査

木花(きばな)が咲きましたでもお知らせした、保安林での公共事業の検査が無事完了しました。

 約17.5haの作業範囲の中で、間伐率が設計どおりに保たれ、完了後の山のカラマツが規定範囲内の密度になっているか。それを何箇所かで確認してから、提出書類の検査が行われました。

 いつものことながら、検査は緊張しますね。であるにもかかわらず「もしも検査に合格したら、財政が厳しいので、できるだけ年内の清算をお願いします」とのお願いまでしていたので、おかげさまでなんとか正月はお餅が食べられそうです。

 下流のみなさん、千曲上流の17.5haは、無事に保全されましたよ。見てくださっていますか。

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カラマツの伐痕(ばっこん)を前に検査中の、長野県佐久地方事務所林務課のおふたり

架線集材の勉強会

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株式会社信州樵工房と合同で、県林務部の普及の方も招いての、小型架線集材の勉強会が行われました。樵工房さんは、森林インストラクターである代表の熊崎さんが設立した林業事業体で、よくある代表者が森林インストラクターを取得するというのとはかなり異なる道順になっており、それがそのままこの事業体のユニークな面につながっています。NPO黎明期に複数のNPO立ち上げに携わった、そまびとクラブなど足元にも及ばない大先輩です。

 今回はじめて見せてもらった、中古機械に小型集材機を手作りで合体させた移動集材マシンは、おおいに刺激となりました。本格的な索張り作業にはかなりの手間がかかりますが、この程度の設備であれば手軽に、小回りの効く集材が可能になります。

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作業前のミーティング風景。今回は新作集材マシンの性能を見極めることも目的です

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熊崎さん手作りの、自走式集材機。ベースマシンはなんとコンバインだそうです

複層林での収穫間伐

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人工林で行われる間伐の目的は大雑把に三つあります。1.木を太らせる。 2.林内を健康な状態に保つ。3.できれば切った木を金にする。
 …実を言うと、この単純明快な説明を、私は林業界に就業してからの数年間受けていませんでした(その目的を簡潔に説明できない人が、木を切っていたわけです)。

 そんな個人的な事情はともかくとして、民有林での収穫間伐が始まりました。現場は、そまびとクラブ設立依頼、ずっとお世話になっている佐久市の大沢財産区が管理する山です。カラマツの下にヒノキを植林した複層林と呼ばれる林で、20mぐらいの高さに育った39年生のカラマツの下で、6~8mぐらいのヒノキが育っています。

 まずは林の状態を確認するために、単位面積あたりのカラマツの本数と太さ、樹高を確かめてから、目安となる間伐率を決めます。

 今回は、同じ林分を二つに分け、私たち以外の業者も同じように収穫間伐を行うことになっています。小さな木の育つところに、20mぐらいの木を倒すのですから、作業の腕前に差があるとそれが見た目でわかってしまうという、こわ~い現場です。

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直径巻尺を使い、木の太さを測っているところ

融資

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融資を受けるための契約に行ってきました。年利は2%、来年の5月29日を返済期限として、120万円の融資が決定しました。

 契約は、長野市にある特定非営利活動法人長野県NPOセンター(ややこしいですが、NPO法人には「NPOを支援すること」をミッションにしたNPO法人があります)の中にある特定非営利活動法人NPO夢バンクとの間で行いました。

 私たちの活動資金のひとつに、民有林を手入れした際の手間賃があります。今回借りたお金は、その手間賃が施業完了後の検査が終わってから支払われるまでの間の運転資金です。

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(more...)

シカ

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世間でやっかい者扱いをされている連中ですが、人里から遠く離れた山域で、下層が丸坊主にされてもいないこのあたりでは、どの程度の実害があるのかは一見しただけではわかりません。ただし、稜線の反対にある群馬県側の植林地では、かなりの量の苗木が、食外防止用のネットごと倒れているように見えます。それがシカによるものなのかどうかは、道から見ただけでは判りません。

 ここ一ヶ月通い続けている十石峠の間伐作業が、間もなく竣工になるので、昨日は少しだけゆっくりと山を降りてみました。現場は佐久穂町に設定されている774haの大日向(おおひなた)鳥獣保護区内にあるため、シカ天国といった感じで、通勤途中はサファリパークのバスに乗っているようです。

 この画像をご覧になって、どんなことを感じるでしょうか。保護区内ということもあるのでしょうが、撮影に望遠レンズは必要ありません。シカたちは日中、普通に林道に現れます。

 大昔に、ヨセミテ国立公園を旅していて、大型の鹿型哺乳類が悠然とたたずんでいる姿を見たとき、「日本にもこんな環境があったら良いのにな」と無邪気に思っていましたが、この狭い国土でそのような光景を実現させるには
…、やっぱり無理かな??

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高密度路網の勉強会

大阪からはるばる高密度路網の大家大橋慶三郎先生を招いて、作業路作設のための勉強会が開催されたので、行ってきました。

 この勉強会は、山梨県小菅村で行われている多摩川自然再生協議会の森林再生部会の活動の一環として行われ、学識経験者、行政、事業体、民間企業など40名以上の方が参加し、二日目の午前には、実際に小菅の山を眺めながら、先生のお話をうかがうことができました。

 「ここはえぇんとちゃう?」「ここはあかん、こんなとこ道入れたら、地獄や…。」 先生の的確に山を見る力を背景としたコメントに、ひたすら圧倒されつつ、山仕事の奥深さと、道入れを単に道入れとだけ捉えることの愚かさを痛感しました。

 奈良県川上村で大橋式高密度路網により素材生産を行っている清光林業(株)の岡橋社長も招かれ、夢を夢だけに終わらせない実践の様子をパワーポイントで見せていただき、大いに刺激を受けた二日間でした。

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森の中の土俵と小学校

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周辺に約2haもの学校林(平地)を持つ羨ましい小学校を視察しました。長野県諏訪郡富士見町にある、富士見町立境小学校です。

 この学校では、校庭と地続きの林や、すぐ近くに地元から借受けた押立山(おしたてやま)の山林250haをフィールドとして、植樹作業、七夕集会(小面積ですが、学校林に孟宗の竹林まであるのです!)クリスマス集会、パン作り(間伐材で焼くようです)、竹細工、御柱祭などを行っているとのことで、平成17年度全日本学校関係緑化コンクール(学校林活動の部)で特選(農林水産大臣賞・日本放送協会長章)を受賞したそうです。

 そして、教頭先生が案内してくださった押立山には、再生された土俵がありました。江戸時代に、領主が領内見分のためにこの山に登った際行われた奉納相撲にならって、子供たちが森ので相撲をとるそうです。10月4日に行われた大相撲押立場所の様子が、学校のホームページに掲載されています。

 学校林に隣接する林も、所有者が自発的に業者に依頼して除伐と整理を行っていて、見通しの良い、子供たちが遊びやすい環境になっていました。こういう取り組みは、緩やかに伝染するということがよくかります。

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学校に隣接する(と言うより、林に学校が包まれているのですが…)林への入り口

森林のリスクマネジメント(=RM)を考える

森林に関わる人々を対象にしたリスクマネジメントを考える講座に参加してきました。

 森林での作業には常にリスクが伴います、が、今回の講座がそういう観点ではないだろうということは、講演してくださった専修大学商学部の上田和勇教授(私は事前に上田先生と面識がありました)の専門から予想していたので、日々のNPO運営や経営的なことに役立つのだろうと考えていました。ところが、参加してみると大間違い! 志を持って組織を運営する者すべてにとって示唆に富む内容の、世直しそのものに役立つ必須の講演でした。

 講演の印象に残ったところを要約すると、リスクコミュニケーション(=組織の利害関係者とのリスク情報の共有活動)という概念がとても重要な役割を持っており、それを組織内のすべての者が共有している組織は、いかに強い組織であるか。ということでした。
 また先生は、「RMの基本を知っていると人生に役立つ。それは、人生そのものがリスクとチャンスの繰り返しだから。RMを考えることは、仕事のことを考えると同時に人生のことを考えることでもある」ともおっしゃっています。

 約1時間の講演のあとに、林業従事者、所有者、行政、ボランティアなどの森林に関わる17名の参加者で行われたフリーディスカッションからは、立場の違いによる日本の森林の現状(=危機を含む)の捉え方の違いや、NPOならではの悩みと希望が伝わってきて、このような場がまだまだ足りないことを強く感じた次第です。
 このディスカッションはまさに森に関わる人々によるリスクコミュニケーションそのものであり、こうしたことを通しての価値の共有こそが、日本の森を強いものにしてゆくような気がしてなりません。