野生生物問題はヒトの問題

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本業の稼ぎとは直結しませんが、実は林業と深く関わっているということで、昨日参加してきた「カラスシンポジウム」なるものの報告をします。(今回は長野県にあるNPO信州野生生物保全センターの活動の一環として参加しました)

 カラス(特に都会の場合はハシブトガラス)が人間の生活圏に増えて、人間との間にいろいろな軋轢を生じているということが報じられています。そして、報道や出版物などのおかげで、実は都市のカラス問題は人間のゴミ問題の結果なのだ、ということもよく知られてきていることです。

 田舎の場合でも基本的には同じなのだな、ということを昨日のシンポで勉強してきました。田舎でもカラスを効果的に養っているのは、冬の間の餌欠乏期の畑に放置される果樹の残渣(ざんさ:商品にならず捨てられた収穫物)の可能性がかなり高そうです。しかし残念ながら、そうした因果関係をはっきりさせたり、駆除や防除とその対象となる生物の個体数の関係を徹底的に調べるという文化が、日本ではあまりにも未熟なため、結果的には被害を減らすことができずにいる、ということも今回改めて納得してきました。

 人間は他者と軋轢が生じると客観的な判断ができなくなる生物です。ところが、野生生物はそのあたり「生きるための戦略」が極めて純粋ですから、まずは私たちがもっと賢くなる社会づくりにはげまなければいけないように思います。

 日本の法律は、野生生物を国民共通の資源として位置づけています(そのことを知っているきこりは極めて少ない)。ですから、カラス(特に田舎の耕地に面する人工林の場合はハシボソガラス)を含めた野生生物の棲家に直接立ち入って、その環境をかく乱をする作業者ひとりひとりが、こうした野生生物に関する知識を持たずに居る、という状況は、私には滑稽に思えてしかたありません。

 今回のシンポで語られたような「野生生物に関する客観的なデータを得る」ことに、もっと公的なお金が注がれるような社会づくりをすることは、たぐい稀な自然環境を維持できていた国土のことを思い起こすとき、その価値を知る人々が一刻も早くやりとげなければいけない仕事のひとつだと考えます。

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二羽居るカラス。微妙に違うところがあるのですが、わかりますか?