生き物を観察する森づくり

林業の世界では、森林生態系保全を最大の目的とした森づくりは、まだ一般的ではありません。その理由はまたの機会にお話するとして、今日は、今行っている世にも珍しい森の生き物のことを考えて作業する間伐の紹介です。

 森の自然度の話題になると、原生林のすばらしさがよく引き合いに出されますね。「やがて野となれ山となれ」というのは只木良也著:ことわざの生態学(丸善ブックス)によれば、放っておいても草原→低木林→森林となる十分な降水量を持つ地域だからこそ生まれたことわざで、砂漠地帯では生まれようもない言葉だそうです(ちなみに只木先生は一昨日紹介した国民森林会議の現会長)。ですから、原生林を望むのであれば、極端な話そのまま放っておけば良いのでしょうが、私は原生林は思いのほか動物の気配の少ない場所であると感じています。
 

 今回手入れの相談をしてくださったこの森の管理者は、森が暗くなってしまったことを嘆き、何十年か前のこの森のイメージに近づけたいとの希望でした。かつてはワラビが生えて、ミヤマクワガタがたくさん居たそうで、全部伐ってしまうのではなく、少しでもそんなイメージを復活させて、ここを訪れる子供たちに観察してもらえるようにしたい、ということでしたので、林床に光を入れ、小さな皆伐地も設けて、間伐した木は昆虫の棲家や発生場所としてできるだけたくさん集積する、という提案をさせてもらい、作業がはじまりました。3年前に同じ作業をさせていただいた隣接するエリアでは、狙いどおりワラビが元気良く茂っています。ミヤマクワガタの状況もこの夏には調べてみようと考えています。

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天然生林の広葉樹(シラカンバは先駆樹種)を間伐したところ

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空を見上げると、木のあった場所にポッカリと穴があきました

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倒した木を集積しているところです