人材

小学校に出入りしている縁で、学校の先生から講師探しを依頼されることがあります。先日、6年生の担任から「これから社会で室町時代に入るのだけれど、誰か水墨画を子供たちに教えてくれる人はいないか?」と言われました。私は近所で書道教室をやっていた先生の顔を思い出し、お安い御用と早速先生のところに相談にうかがいました。

 先生は快くひきうけてくださり、昨日学校の先生とお宅にお邪魔しての打ち合わせだったのですが、私の仲立ちがいかに安請合いだったかを思い知らされました。いつも犬の散歩の時に世間話をするだけだったのですが、その書の先生は、様々な大会に名を残す大家であり、画を得意としていて、村の内外にずいぶんたくさんの襖絵を納めている方だったのです。

 短い打合せの間に拝見した墨や硯のコレクションと作品の数々に、学校の先生ともども圧倒され「これはたいへんな人に気安く声をかけたものだ。でもこんな人に接することのできる村の子たちは幸せだな」と感じながら帰宅しました。

 興奮冷めやらぬ担任の先生は、帰りの車中で「こりゃーもったいないや。子供たちだけでなく授業参観の日に合わせて親たちにも見てもらう。いや待てよ、ウチの子たちだけじゃなく第二小学校の子たちも呼ぼう」と、プロジェクトをどんどん拡大させている様子。なんだか大変なことになりそうです。

 「人脈」や「人材」という言葉はあまり好きではないのですが、今回のことを端的に示すにはこの言葉しか思い当たらないのでタイトルとしました。道を究めた人に気安くお願いができて、地域の子供のためとあらば簡単に一肌脱いでくれる。田舎恐るべし。