木協(もっきょう)の会議

長野県木材協同組合連合会という団体があります。恥ずかしいことに、この業界の住人であるにもかかわらず、何度か耳にしながらこれまで実態を知らずにいた組織です。その会議に先日出席させてもらいました。メインの議題もさることながら、私にとっては「今まで参加の機会がなかった」という根本的な部分で考えさせられるできごとであり、その問題の根の深さに、4日が経過した今もモヤモヤとした気持ちが続いています。

 いちばんの議題は、合板メーカーの動向に関する情報共有と、今後の対応についてです。これまで建築などに使われる合板(いわゆるベニヤです)の原材料は、ロシアからの輸入材がメインだったのですが、プーチンの政策により高い輸出関税がかけられるようになり、主力を国産材に変える動きが活発になっています。単純に「売れるようになって良かったね」ということで済めばよいのですが、いかんせんその消費量が膨大なために、現在、地元の材で細々とやっている、言わば絶滅の波を乗り越えてきた地域の製材業者が、材料の高騰や不足によってやって行けなくなるという危険をはらんでいるのです。

 上記のモヤモヤと合わせて「どうしてこんなことになるのだろう」と、実はもう半年以上も考えているのです。値のあるうちに皆伐をしてお金にし、あとは自然に木が生えてくるから大丈夫、という山が、この村にもチラホラ見られるようになってきました。

急ぎの仕事

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久しぶりに明日は現場を止めようかと思っていたところ、下山して携帯電話を見ると着信あり。村内にある施設の管理者からの電話でした。

 強い雨の翌日、画像のようにシラカバがポッキリとおれて、宿泊施設の屋根で止まっているとのこと。ここでは、毎年夏休み中に都内の小学生が交代で泊まりにくる活動が行なわれており、とにかく早く処理をしないと事故につながりかねません。と言うことで、翌日は事務仕事の予定を変更し、急遽支障木処理の装備を持って現場へ向かいました。

 ハシゴで屋根に上がり、枝を先端から少しずつつめてゆき、最後はチルホールで牽引しながら、林の中へ倒しこみました。今回のような緊急事態の時に頼ってもらえるというのは、事業者としてありがたく、今後も対応を大事にしてゆきたいものです。

拾得物アメリカミンクのその後

先月お伝えした、交通事故死のアメリカミンクに関する続報です。長野県環境保全研究所の哺乳類を担当している研究者あてに発送したところ、サンプルをしかるべき機関に送りDNA解析をし、頭骨は損傷がなければ標本として保存するということでした。

 ふつう「キモチわるい、きたない」で終わってしまう死体ですが、目にすることが少なく、生態の観察が難しい野生動物の死体は、貴重な研究材料となる場合があります。山で働いていると、野生鳥獣に関する基礎知識や情報が欠かせないので、研究者の皆さんにはこうした情報提供を通じて、日頃からなるべくお付き合いいただくよう心がけています。

 今回紹介したアメリカミンクは、毛皮生産での地域振興をねらって平成3年まで私の暮す村で養殖されていましたが、この中の逃げ出したものが、千曲川に沿って分布を拡大していると言われています。生態系への影響が懸念される外来生物。何とか分布の拡大を食い止めたいものです。

説明の難しさ

時間が経っての報告です。7月31日づけの地元新聞(しかも地域面)に「二つの足音」と題し、地域の林業の動向などを書いたものを掲載していただきました。信濃毎日新聞社からの「佐久の森づくり」というリクエストに簡単に返事をしたまでは良かったのですが、いざキーボードを前にすると、いったい何をどこから書き始めれば良いのやら、考えるにつれ「こりゃ、えらい事を引き受けてしまった」という重圧に脂汗がにじみだしました。

 業界のことを良く知る人たちに呼びかけることと、事情を知らない人たちに説明からはじめることには、言葉では表現できないほどの違いがあることを思い知らされました。つまりかように、我が林業界が自ら築いてきた垣根は高いのだということではないでしょうか。そして気づいてみれば、たった13年で自分もどちらかと言えばその垣根の中に立っているということです。なんとも背筋が寒くなる経験。

 連載の次回は9月とのこと。いちど滝にでもあたって、意識のぶれを正す必要がありそうです。

源流に架ける橋

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下見をくりかえした源流行き。今回の趣旨はクリーントレッキングでしたが、千曲源流にはほとんどゴミがないため、代わりに看板や歩道の整備を行なうことになりました。道をふさぐ藪を刈ったり、転んだ根株を片付けたり。そして私の案内した班は、老朽化した橋の架け替えを担当しました。

 あらかじめ主催者である県の皆さんが現地調達しておいてくれた丸太を利用して、ご覧のような簡単な橋ができあがりました。「源流に架ける橋」参加者にとってはなかなか良い思い出になったのではないでしょうか。それにしても、大勢で力を合わせるというのは楽しいことですね。駐車場まで下山すると緊張が解け、身も心もグニャグニャになってしまいました。明日からまた、草まみれの生活に戻ります。

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完成した新しい橋です。名前はありません

再び源流

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明朝登る、千曲川源流への道中で2回目の下見の際に写しました。戦後、ほとんどの林が皆伐されたようですが、今では真っ暗なところが多く、どこまでも続く苔のカーペットがとても心地よいです。

 下はウォータースライダーができそうな滝です。ここの看板だけは下見の際に新しいものを付け加えてきました。
 実はこの直下が以前は急な滝になっていたそうで、魚止めになっていたようですが、昭和57、58年の災害で埋まってしまったとのこと。山の地形はけっこう変化しているのですね。

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