ロープクライミングテクニック

上伊那森林組合が行っているアーボリカルチャーの研修。今回はロープクライミングテクニック・レベル2ということで、一日目は課題を設定しての枝の上での移動。二日目は、クライミングスパーという爪のついた器具での作業方法と、吊るし切りの実習が行われました。
 一日目は雨にたたられ、ツルツルのコンディションでしたが、参加した皆さんは果敢に枝先に設定されたポイントめざして挑戦していました。

 

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 二日目のクライミングスパー(登木器、または登柱器)での作業実習の様子です。幹に爪を刺しながら登るため、伐倒を前提とした木で使われる技術です。
 これだけたくさんのアーバーがペアを組んで作業をしている光景は、なかなか壮観でしたよ。
 新たな技術や道具との出会いも刺激的ですが、それ以上に、講師や参加するみなさんの安全や技術への執着に、いつも感化されて帰ってきます。

 私のクライミングロープもずぶ濡れになってしまったため、洗濯しました(正しくは「してもらいました」)。家の中に干された鎖編みのロープが、クリスマスの飾りつけのような状態になっています。

生物多様性の森

生物多様性とまではいきませんが、以前ここでも紹介した広葉樹林の施業に関し、ワラビの出る森にしたいとの担当者からの要望に、ワラビエリアとして小さな皆伐地を設けました。

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 施業から4年後、そこを通ってみるとみごとなワラビ原が出現しました。「もともとあったところを、明るくすりゃー出るに決まっている」と言ってしまえばそれまでですが、思惑通りになると嬉しいものです。

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 左側の葉がなくなっている一団(最初の画像では、円の中央部)は、シカの食痕だと思われます。最初に真ん中が延びて、すぐに食べられたようです。そう言えば、昨日の昼休みにも若いオスが1頭、ほっつき歩いていました。
 あとはもう一つの要望だったミヤマクワガタですが、さてさてどうなったかな??

 本題とは無関係ですが、明日から二日間、アーボリカルチャーのメッカ”上伊那森組”に巡礼に出かけます。

山の怖さ

 

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昨日、一昨日と、行方不明の登山者の捜索に出動しました。「おーい、○○さーん」と呼びかけつつ、沢や物陰をのぞきながら手分けしてすべての登山ルートを歩きます。天候の良かった一昨日は、頂上付近での転落も視野に入れて、県警のヘリコプターからの徹底的な捜索も行われました。ヘリの死角となる岸壁の基部には、隊員が徒歩で確認に入ります。ロープを使い、普段は立ち入らないようなかなり悪い場所まで、ひとつひとつ確認していきます。

 たいへん重々しい雰囲気の中、つくづく山の怖さを感じました。”自然の中に身一つで入ってゆく”ことには、実は言葉では表現できない大変な危険があるのだということを、歩きながら考えました。鈍感な自分にとり、山について考える貴重な機会になったと言えます。

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 遭難者は、かなり山に慣れた人です。山も難易度の高い山ではなく、地元の学校登山でも使われています。それでもこういうことになってしまった...。 大きなお世話といわれてしまうかもしれませんが、単独で山に入る場合、既往症のある方は、今一度考え直してみていただきたいと思います。人事ではありません。検診では通風しか指摘されませんが、私自身、仕事も含めてGPS携帯の導入を真剣に考えています。

レンゲツツジ満開

19、20日と、恒例になった東京の三鷹市の皆さんのハイキングの案内をしてきました。初日は山梨県北杜市の棒道(ぼうみち)と川股川渓谷を歩き、夜はこれまたおなじみのキャンプファイヤーです。
 フォークダンスでは、長年テキストが見つからずに困っていたオクラホマミキサーに、YouTubeという強い見方が居ることに気づき、今回はかなり正確なステップを刻むことができました。フォークダンスにもITの波が押しよせています。

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 二日目は村内にある「ふれあいの森」散策と、シャクナゲ遊歩道を歩きました。上の画像が、ふれあいの森の最下流にある「あちばけダム湖」の様子です。心配していた雨にも降られず、湖面を流れてくる爽やかな風を楽しみました。

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 シャクナゲ遊歩道はご覧のとおりレンゲツツジが満開です。今年は花が遅れ気味で、強い風雨にあわなければ、あと一週間はもちそうです。

草刈り拝見

宮崎県の西米良(にしめら)村というところに、田爪さんという方が育てている山があります。植栽面積43ha。そこを毎年刈っている皆さんの仕事を見せていただきました。

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 43haという広がりの若い植栽地を見た経験がなかったので、現場に着いた瞬間、自分の中にある何かが崩れてゆくのを感じました。それが何だったのかはまだわかりません。林道に立っているのがオーナーの田爪さん(左)と、草刈りを請負っている土居班班長の土居さん(右)です。

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 土居班の皆さんの後方、遠くの尾根まで広がるのが、植えてある山です。この”広さ”に負けない理由は、いずれ出版されるものの中でご紹介できるはずです。

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 さわやかな感じの画像ですが、この日も32度まで上がりました。日差しを遮る立木ゼロ。寒冷地仕様の自分が刈っていたら、あまりの暑さに気を失ったかもしれません。

九州へ

これより毎日報道されている宮崎県へ行ってきます。口蹄疫という言葉を聞くたびに辛く、関係者のみなさんのことを考えると思考が止まるとでも言うのでしょうか、暗澹たる思いにつつまれるのですが、その地域へ出かけることになりました。
 なにやら、ひと夏にものすごい面積の下刈りをする方がいらっしゃるとかで、その取材の機会をいただきました。18日まで不在です。

シカ柵の確認

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何度か紹介したように、村を囲むように設けられたシカよけの電気柵が、随時鉄製の網にバトンタッチしています。これに伴い、これまで主な夏の収入源だった、漏電防止のための草刈りがなくなり、「今年からどうしようか」と思っていたところ、担当の人から電話が来ました。

 居倉という集落で、鉄柵に交換するための距離の確認を行うとのこと。交換が農繁期に間に合わないので、この夏は電気柵にナイロンネットを結び付けてしのぐ作戦だそうで、この草対策をどうするか立ち会って確認させてもらうことになりました。

 

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 ナイロンとは言え、柵にふれることで電気が逃げてしまいます。ここに草が伸びればたちまち効果はゼロになるでしょう。かと言って、ご覧のように草刈りなどできる状態ではありません。しかたなく除草剤を使うということで話がまとまりそうです。

 

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 依然として問題なのは、このような防御不能な場所です。沢の中を来られると、角の無い個体であれば、水面すれすれに線を張らないかぎり、くぐり抜けてしまいます。しかし、水面すれすれにすれば、増水時に電気がすべて逃げてしまいます。
 敵は生き死にのかかった状態ですから、容易ではありません。

修景作業

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これを修景と呼ぶかどうかはわかりませんが、「以前は眺めが良かったのだけれど、時とともに木が大きくなって、何も見えなくなってしまったから、木を伐って片付けてほしい」という依頼をよくいただきます。

 この春、村内にある東京都の武蔵野市の施設にある遊歩道で、そんな依頼がありました。山の所有者である集落の林野保護組合の役員さん立会いのもと、伐る範囲を決めて作業を行い、先日久しぶりに同じ場所に行ってみたら、ミツバツツジがきれいだったので、パチリと撮ってきました。

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 このようなケースで感動的な対応のことを思い出しました。いわさきちひろさんが仕事場にしていた山荘で、木が大きくなり湖が見えなくなったのだそうです。そこでちひろさんが考えたことが素晴らしい。木を伐るのではなく、仕事場に二階を増設して、そこで仕事をするようにしたのだそうです。この山荘、今でも長野県の信濃町に保存されています。

さし木2

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昨日の枝採りの様子です。中央のブナの手前、右に向かって傾斜しているのは、なんとアカマツです。そう、現場はブナとアカマツの混交という、不思議な林だったのです。
 私の暮らす地域にはブナが少ないので、ブナ登りは初めての経験でした。見た目ほどツルツルしていないのが意外でした。ただし、ブナ老齢林の特徴でしょうか、落ちている枝が細いために、スローライン(ロープを木にかけるために、最初に投げる道糸)の管理が悪いと、たちまち地上でこんがらかり、タイムロスばかりしていました。

 今回、もうひとつお知らせしたいのは、現地まで案内してくれた方が土壌のエキスパートだったということです。ここでは詳しいお話はうかがえませんでしたが、すばらしい出会いのおかげで、新たな展開について報告することができるかもしれません。

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 上の画像のアップです。地上に居るときよりも真剣に働いています。

 

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 ブナとアカマツのツーショットをバックに休憩中。日ごろの鍛え方が足りないのと、年齢のせいで、10mを超える登りでは、このように休憩タイムが入ります。

さし木

老齢のブナ。この子どもたちを確保しておくために、さし木用の枝を採るという仕事のお手伝いをしてきました。高い位置のよく光をあびている場所で一枝。そうでもない中断でまた一枝。木登りのテクニックが活かされました。”さるかに合戦”の猿のように、枝を切っては落とします。
 さし木のことを何も知らなかったので、たいへん刺激的な経験でした。そして帰宅してビックリ。”当年生シュート”で検索すると、膨大な数の論文がヒットします。さし木は奥が深い。

 

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 画像は、見る人が見ると誰だかわかってしまうのでお詫びします。ごめんなさい。荒穂(あらほ)と呼ばれる小分けにした枝の常態でたばねて、これから流水にさらします。

 

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 こちらが発根したブナ。これからポットに移されて、山へ植えられて...。幾多の試練が待ち受けています。頑張れよ、俺もがんばるから。

要林産の土場

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村の中に土場(どば)を借りました。集材用の機械を持たないひとり親方が土場を持つなんて例は聞いたことがありませんが、借りてしまいました。画像の範囲全部ではなく、右奥の半分です。
 人力でできる集材の範囲ですが、ちょっとたくらんでいることがあります。内緒です。 家賃? ...それも内緒です。
 気づくと独立開業3年が過ぎ、おかげさまで4年目に突入です。

はげ山

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村内のあるお宅にお邪魔した際、目にとまりました。いつごろのものかたずねるのを忘れましたが、たぶん戦後間もない頃ではないかと思います。
 このお宅では大きな製材所をやっていたそうで、木を伐り出された山を背景に、横長に広がる茶色の屋根がその製材所。そして画像ではわかりにくいですが、手前に無数の丸太が積まれています。山仕事の先輩たちから聞かされるたびに、行ってみたいと思っていた当時の山の様子を、ビジュアルで(しかもカラーで)感じた、貴重な瞬間でした。

 下の画像は、ほぼ同じアングルで見た現在の様子です。かつて製材所があった場所に建つのは6棟の村営住宅。
 絵の所有者が言っていました。「カラマツの値が上がり始めたら、たちまち村中がはげ山になるよ。この村は反応が早いんだから...」
 近ごろ、そんな予感がしています。

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道端の現場

仕事をしているところをじっと見ていられると「やりにくい」と感じる人は少なくないと思います。私も見られているのはやりにくいと感じるのですが、そこが悩ましいところでもあります。

 

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 今作業しているのは、車の通行量の多い県道沿いです。こういう場所で木を伐っていると、通りすがりの人たちの視線を感じます。数十台に一台くらいの割合で、減速しながらジックリと見ていく人がいて、半日に一台くらいは、車を止めて見る人もいます。そして「バタンッ」とドアの閉まる音。いよいよ身元調査のはじまりです。

・・伐っているだかい?

・・ハイ、そうです。

・・さっぱりするね

・・ハイ

・・お宅、どこっ?

・・川上です。

・・川上、どこっ?

・・御所平です。


 こんな感じで、一通り聞いて納得してくれるのですが、その後に来る瞬間が大切です。

・・じゃ、うちの山も伐ってくれるかい?

 こういう人目につく現場は、またとない営業のチャンス。昨日も山主さんを一人紹介してもらえることになりました。
 べつに意識して営業トークにする必要はありませんが、ジックリとお話しをうかがうこと。そこからまた新たな出会いが始まります。