ツクと焼畑

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どうやら樹上作業の師匠も読んでくれているようなので、先日の宮崎取材の際の副産物を紹介します。現地の森組で働く若者に勧められて、この技能に出会うことができました。

 宮崎県児湯郡西米良村(こゆぐん にしめらそん)では、長い間焼畑が行なわれており、西米良村歴史民俗資料館では、その手法を記録したビデオを視聴させてもらえます。
 ビデオによれば、焼畑予定地の大きな立木は、そのままバタリと倒してしまうと、土を荒らしたり、取り除く手間が大きいということで、事前に登って枝を切り取り、枯らすのだそうです。その樹上作業に使われるのが”ツク”です。

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 ブレてしまってごめんなさい。「木おろしに使う。立木から立木へ空中で移動するための道具」と書かれています。

 

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 資料館に保存展示されている”ツク”たち。

 

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 移動には重力を利用します。

 

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 右上のような写真も展示され、動画をご覧いただくと感動ものです。残念なのは、多くの根性系作業と同じく、何かがあったらポトリと落ちて、おしまいということです。

 聞くところによると、焼畑サミットなるものまで行われているようですね。世の中は広い。

枯枝が無事完了

 

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20日にお伝えした現場の枯枝除去が、無事に完了しました。ボロボロと砕け落ちそうな長くて太い枯枝、皆さんだったらどのように除去しますか。本来ならばリギングというやり方で、枝全体をロープで包むように保持してから、高い支点から吊り下げるようにしてカットし、静かに下ろすのですが、その道具も、技術も、人手もない要林産です。先端から40センチくらいずつに刻み、ポコポコと投げ下ろす方法をとりました。

 それを行うためには、枯枝に触れない状態で、先端部分に自由に接近する必要があります。
 高い位置に2箇所の支点を設けて、両方からロープを下げ、それにぶら下がることで横方向には空中を自由に移動可能になります。次に、もう一本のロープを木の幹から水平に自分につなげることで、枝との距離が調節可能になります。

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 師匠に言ったところ「危険な方法」と一喝され、必要があれば手伝いに行くとまで言ってもらえたのですが、あえてひとりでやってみることにしました。
 師匠の指摘は正しく、リギングで処理すればチェンソーを使うのは、自分を安定した幹に固定した状態で、回数も最低の3回で済みますが、私のとった方法では、空中でロープまみれになった状態で、何度もチェンソーを回さなければならず、危険はその分何十倍にも増大することになります。

 凄まじい暑さの中、慎重に慎重に、「慌てれば、ろくなことにはならない」と自分に言い聞かせての5日間でした。
 8月1日のお墓参りにはぎりぎりセーフ。お施主さんも喜んでくれたのですが、どうやら喜びの半分は作業が終わったことよりも、私が生きていたことの方にあったようです。墓地に眠る皆様、たいへんお騒がせして失礼しました。

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 いつも使うトップハンドルでは出力不足のため、39ccを使いました。ハンドルについている黄色いベルトは、チェンソー専用のストラップ(Break-away Chainsaw Strap)です。ロープなどでチェンソーと作業者を結び付けてしまうと、急激な刃の食われなどで、伐った幹ともども作業者が落とされる可能性があります。そんな時のために、ある程度(250ポンドですから、100キロちょっと)の力がかかると、ちょん切れる設計になっています。

映画”こつなぎ”

映画“こつなぎ 山を巡る百年物語”を、松本まで観に行ってきました。発端は、よくコメントして下さるつうくんさんが、あるサイトに入会についてと、この映画の存在を紹介したこと。そしてそれを読んだアカホリさんが、動員をかけて一泊二日の「こつなぎを観て語る会」に発展したのでした。

 久しぶりに会った皆さんとの語らいの印象が強く、映画の印象は正直なところ色あせてしまったのですが、それでもわざわざ一日かけて観る価値はありました。
 上映前の製作者挨拶で「時代は変わり、人々の暮らしは変わっても、現代には現代の入会があるのではないか。そんな思いでこの映画を観てください」と語った監督の言葉があったので、助けになったのですが、それがなかったら農民と国家(司法)との闘争のドキュメンタリーとして観てしまったかもしれない、そんな描き方がされていました。

 明治の地租改正により、東北の山村こつなぎの入会地にも所有権者が設定され、やがてそれが売却されたことから、新たな地主と村人とのあいだに問題が起こります。いちばん不幸なのは、100町歩は従来どおり入会地として利用しても良いという地主との調停に賛成する人々と、反対する人々とに、村が二分されてしまったこと。このことで、闘争は地主反対派と地主の間だけでなく、賛成派と反対派という局面を生み出してしまいます。でも、確執があっても村人たちは必要に応じて協力し、破滅的な関係の崩壊には至らなかったという点が、ひとつ印象に残りました。

 そして一番胸を打ったのは、長年の訴訟でついに入会権を獲得できなかった村人が、「農民が入会地を失うのは死に等しい。人間を生かすも殺すも自然次第なんだ」という意味のことを語ったところでした。
 明治が訪れるまでの数百年、あるいはもしかすると数千年を入会地からの恵みで食ってきた人々。それが失われる社会の到来とはいったい何なんでしょうか。
 このドキュメンタリーの中で、地主にとって、山は投機の対象でしかなかったと感じます。虚業が幅を利かせる時代に笑われてしまうかもしれませんが、多くの人に観てもらいたい映画です。

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労働基準監督署へ

恥ずかしいことです。労基署から電話をもらってしまいました。今年度分の自分の”ひとり親方”の労災保険手続きが、締め切りになっていることをポカリと忘れていたのです。役所の方はあくまで優しく、まるで申し訳ないように対応してくれたので、ますます私の方が申し訳なくなりました。
 
 
 今回は手続きの関係で書類が多く、直接出かけて窓口で記入させてもらったほうが早そうなので、昨日の午後に小諸市というところまで行ってきました。連日の高温の中の木登りで、だいぶ体がおかしくなっていたので、ちょうど良い骨休めになったのですが、何だかおかしい...。体を使っていないはずなのに、妙にしんどいのです。
 帰宅して気づきました。原因はどうも暑さのようです。半日冷房のない軽トラに乗っていて、おかしくなってしまいました。長い山暮らしの結果、夏のアスファルトの上や、車の中には長居できない体になってしまいました。

 本題に戻りますが、役所の人は窓口でも一層親切で、書類以外のことも教えてくれました。
 「もしも10ヶ月以上、ひとりでも雇用することがあったら、あなたの特別加入は、ひとり親方ではなく”中小事業主の特別加入”に変更していただかないといけません」
 なんて重要なことを見落としていたのでしょうか。誰かを雇うなんて、まだ想像もつかないことですが、初歩的かつ重要な情報でした。担当してくれた方に感謝です。

小さな冒険者たち

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村の小学生との自然観察。今回はあえていろいろと考えておくことはやめて、みんなと一緒に楽しむことに集中してみました。こう言うとなんだか手抜きのようですが、カラマツのことだけは忘れずにPRしておきました。

 観察の対象探しには苦労しないうえに、子どもたちは次から次へと新発見をしてくれるので、こちらはせっせとそれを追いかけて、考える手助けをする。正直なところ支離滅裂になりそうでしたが、すごい助けが入りました。それがご覧の”セミのぬけがら”です。

 こういうものがひとつあると、みんなの集中力が一点に集まります。誰かが、ぬけがらの中にハサミムシが暮らしていることを発見してくれました。
 二日間の楽しいキャンプの中で、今日の観察がどんな思い出になったのか。10年くらいしたら、成人式の日にでも聞かせてもらうつもりです。

ケヤキの枯れ枝

田舎では、先祖代々の墓場に、よく大きな木がはえています。今回の施業地は、丁度段々畑のように1ファミリーごとの墓場があり、それを区切るのり面に樹齢数百年のケヤキが立っています。
 

 何本かの枝が枯れており、下の敷地に落ちて他家の石塔を壊したら大変ということで、お施主さんは何年も心配していたようです。
 山の中なので、軽トラックで行くのが精一杯。とてもそのままではラフターや高所作業車が近づける場所ではありません。「いっそ諦めて、次の世代に」という意見もあったようですが、決断しました。
 赤矢印の先の黒っぽく見える2本のほかに、もう一本あります。二本は目測で7mくらい、上に向かっています。
 支点の高さは丁度25m。ポジション作りに1日半かかりました。伐り終わるまで、まだ1日か2日はかかりそうです。

 樹幹の中の仕事なので日差しはありませんが、風が止んでしまうと暑いです。汗が滝のように流れます。

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グラウンド周りの草刈り

夏休み、毎年ここには都会から少年サッカークラブが合宿で練習に来ます。それに合わせて、場外に出たボールがすぐに見つかるように周辺の草刈りを請負っているのですが、今年は少し草が少なめのような気がしました。赤矢印の右側が前日刈り終わったところ。左側がこれから刈るところです。
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 さらに発見だったのは、ハチの気配がほとんどないこと。梅雨の後半、強い雨が続いたので、それが関係しているのでしょうか。
 16日にはすべて刈り終わり、芝の手入れも済んで受け入れ準備完了。高原のグラウンドで、未来のJリーガーたちに思う存分楽しんでもらいます。

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遊歩道の階段

先日”修景作業”でもお伝えした武蔵野市の施設で、施設内の遊歩道のメンテを行いました。長年の雨の浸食により、滑りやすい場所や落石危険箇所があるので、ルート変更や階段の新設が主な内容です。

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 画像は最も長い階段設置場所。全部で80段あります。あまり「至れり尽くせり」というのもありがた迷惑なのですが、遊歩道となると適度な歩き易さも必要だと思います。
 この夏、この階段で、いくつの新しい”森の思い出”が生まれるのでしょうか。

林業就業支援講習

7日から三日間、長野県林業総合センター(塩尻市)で行われている講習会のお手伝いをしてきました。昨年も同じ報告をしたかもしれませんが、今回もまず感じたのは、受講生の皆さんの切実な求職状況です。

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 20代の人も何人か見受けられ、講習の最後には新規募集を予定している事業体との面談があるのですが、21人の受講生に対して募集枠は2~3割の狭き門なのだそうです。
 講師をした仲間の林業士が「整備しなければならない山はたくさんあるのだから、働き手はもっと必要なはず」と言っていましたが、山の現状と事業確保という二つの現実の間には、大きなギャップがあるようです。
 先日取材した森林組合でも、若い人たちに山仕事が「ちゃんとした働き先」として捉えられていたことを思いだします。どの事業体も期待を裏切らない職場であることを祈るばかりです。

補助金入力ソフト説明会

 

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 先週末、佐久地方事務所で行われた造林補助金の説明会の様子です。昨年6月19日にも「事業実施主体に」で報告したとおり、特別措置法により、小さな事業体でも、森林所有者から間伐等の森林施業等を委託され実施した場合に、補助金の申請者となって、補助金を直接受領することができるようになったうえに、事業仕分けの結果、これまで森林所有者が申請者となる形の事業がなくなった関係で、森林組合による代理申請が行われなくなったため、会場には軽く50名をこす林業関係者や行政の人たちが参加し、皆さん真剣に説明を聞いていました。

 

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 そして第二部の様子がこちらです。その名も「造林補助システム」。地方事務所の担当者が利用しているのと同じフォーマットに、施業結果などを入力してゆくことにより、その場で補助金の試算ができ、入力したファイルを送ることで、これまで手書きだったカードに代えて手続きができるものです。
 考えてみれば、これまで紙で提出されていたものを、一件一件担当者が打ち込んでいたわけですから、それだけでも恐ろしい作業量だったわけですね。当日CDを持ち帰った皆さんの検討を祈ります。

吾妻森林組合へ

長野佐久地域でも、昨夕の雨はすごかったです。JR小海線が止まり、通学している娘は代替輸送のタクシーで夜9時すぎに帰ってきました。

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 そんなお天気が心配な日でしたが、日中は降られずに、群馬県は吾妻森林組合への取材が無事に終了しました。
 今回いろいろと教えてくださった班長さんの土谷さんは、わざわざ携帯発電機まで用意して、山で笹刈り刃の目立てを実演してくださいました。驚きだったのは、防塵マスクを着用したこと。画像でおわかりでしょうか。土谷班長曰く、目立てを一回やってみると、ものすごい量の切削カスが顔についている。それを全部吸い込んでいたら、一生のうちにはものすごい量になる。ということで、確かに仰るとおりです。気がつきませんでした。私も明日からはグラインダー作業の際にはマスクを着用します。

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 土谷班のみなさん。いつもは8名体制だそうです。忙しいところおじゃましてすみませんでした。これからもどうぞお気をつけて作業にお励みください。