雨の森林祭

昨日、当地では台風が通過する中、行政が主催する「佐久地区森林祭」が開催されました。

 通常ならば午前中は、参加者全員で育樹作業を行うのですが、未明からの強い雨のため、すべて屋内での式典になりました。おかげで主催者代表の方や、来賓からの挨拶に、いつも以上に集中することができたのですが、そこであるギャップに気づきました。
 林務関係から遠いところにある人の挨拶ならばわかるのですが、どうも身内と思われる方からもこういう論法の挨拶が行われているのです。

 
 「諸事情により木材価格が低迷している。森林の持つ公益的機能維持のためには森林整備は欠かせない。だから皆で林業を活発にして、森林の公益的機能を守ろう」

 おやおや、どうやら「良い材木を収穫できる山造りをしていれば、森林の公益的機能は守られる」という考えは、未だに林業関係者の深層心理に残されているのですね。こういう式典の際には、たいてい聴衆側も関係者で占められているわけですから、本来ならばもう少し現実的な議論のもとになるようなお言葉をいただきたいものです。そして自分のことを省みれば、聞いている側もなんとなく聞いてしまって、後から議論するということもありませんでした。
 台風により午後からの森林教室の参加者が激減してしまったのは残念ですが、怪我の功名とでも言うのでしょうか、ある意味、重要なことに気づいた一日でした。

レーザー距離計には

 この二日間、間伐した林の面積を求める測量でした。今回、測量テープの代わりに信州そまびとクラブからレーザー距離計を借りて使用しましたが、これが実に快適だったので、うまく活用するコツを報告します。

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 レーザー距離計はライカのディスト。けっこう普及しているのではないでしょうか。ハンディータイプで使いやすいのですが、測定したい場所を正確にポイントできているかどうかが、20メートルを超えるあたりから見えにくくなります。

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 そこで偶然にも、今回ポールマンをお願いしたHさんが持参し、推薦してくれたのが、この黄色い物体!
 特別に距離計用にあるのではなく、携帯用の座布団みたいなものです。キャンプ用品コーナーなどでも売っていそうです。

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 これをポールマンに持ってもらったところ、ファインダーごしの照準が格段に合わせやすくなりました。
 第一に、黄色いので暗い林内でも目立ちます。ですから、視野の狭いファインダーで探す際にも見つけやすい。そしてこの黄色、赤色のレーザーをあてると、ポイントがハッキリと見えます。立木のある少し暗い場所ならば、40mほどの距離を楽に測定することができました。
 「レーザーはポイントしにくい」という方、ぜひお試しください。

現場人(げんばびと)の本 第3巻

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昨年12月にはじめて紹介させていただいた「道具と技」。早いもので、その3巻目が発売されました。特集は「刈払機の徹底活用」です。

 私の知る限りでは、現場取材を柱にして、これだけ徹底的に刈払機や草刈作業のことを取り上げた本はありません。今回は特集1の取材のお手伝いなどをさせてもらいました。
 特集の他にも現場で役立つ情報満載です。詳しくはこちらをご覧下さい。

またおいで

久しぶりに、小学生と森に入りました。町田市成瀬台小学校5年生の「川上村自然教室」。42人の山仕事は壮観です。

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 全員でバタバタと木を倒しはじめると大変なことになるので、待ち時間が長くなりそうなときは、おみやげ用の輪切りを作ってもらいます。
 この山は、いずれ自分が作業に入る予定なので、その時の邪魔にならないよう、除伐した木を細かく切るのもお願いしておきました。

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 実は彼、今ひとつ私の話しには集中できなかったようで、はじめはシラけていましたが、少し太めの木に挑戦してもらったらすごい集中力を発揮しました。

 子供たちが宿泊した施設の従業員から聞きました。こういう体験学習に来た子の中から、チラホラと、今度は家族とともに個人的に村に来てくれる子が見られるようになったと...。嬉しいことです。
 またおいで。おじさんはいつでも山に居るから。

体験!樹林気功

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NPO法人信州そまびとクラブが、平成22年度長野県地域発元気づくり支援金を活用して仕掛ける事業[活かそう!自然のちから 連続講座]の第2回 『森と交流 樹林気功』が、晴天の長野県佐久市で行われました。

 気功はほぼはじめての体験でしたが、実に気持ちの良い時間を過させてもらいました。
 「”気”を感じる」などという段階にはとうてい及びませんが、森に入る前に行ったセルフチェックは、バッチリ日課にできるレベルになったと思います。
 そして何より、講師の藤田雅子さんがおっしゃった、自分のためだけではない体験、つまりこの体験を通して、他の方にそこでの気づきを伝えて行くこと。今回の講座の根源には、自分ひとりが健康になる、ということではなく、そこにある命すべてへの愛を感じられるようになることがある、というテーマが琴線に触れました。
 林業を環境問題として捉え飛び込んだ自分にとっては、かなりの部分で共鳴する哲学があり、困ったことに、明日からますます木を伐ることがストレスになる出会いかもしれません。

 参加者の中には、県内で近々「森の幼稚園」の開園を考えている方もいて、思わぬ出会いの場にもなりました。「樹林気功」 もっと多くの方へ伝えたいですね。

森林・林業・環境機械展示実演会

10日以上も前のことになってしまいました。林業現場人会議が行われた前日、先週4日に群馬県高崎市で行われた「2010森林・林業・環境機械展示実演会」へ行った話題です。遅くなってしまい、すみません。

 
 毎年、全国育樹祭とセットで行われている行事ですが、私にははじめての体験でした。林業機械のブースも勉強になったのですが、いちばん興味を持ったのはふたつのチェンソーメーカーの展示会場での行事でした。

 
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 スチールのブースにて、”STIHL TIMBERSPORTS 2009&2010年”世界チャンピオンのジェイソン・ウエインヤードさんと。まるで大人と子供ですね、子供の方が顔が老けていますが。

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 ジェイソンさんの華麗な斧さばきを見て、言葉を失いました。2メートル近くある巨体で、あっという間に駆け上がり、30センチ以上もある丸太を、なんと10振りくらいでカットしてしまいます。
 あっ、もちろんチェンソーのデモも行われましたよ。

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 ハスクバーナ・ゼノアのブースにて、このブログでも紹介した2010年WLC世界伐木チャンピオンシップ(クロアチア)に出場した日本選手団のデモが行われていました。これから切り口の角度を測定するところです。
 画像ではわかりにくいですが、丸太はわざと傾斜した状態で置かれています。これをまず下から切り上げ、赤い線の範囲内で止め、次に上の青い線の範囲内から切り下ろし、切り口の角度(直角がベスト)と上下接合部の段差が測定されます。もちろんタイムトライアルです。

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 デモ終了後のチャレンジタイムに、恥を覚悟で参加させてもらいました。まずは枝払いです。ルールでは危険防止のために切り下ろしが一切禁止! 突然言われても、すぐには対応できません。576XPの切れ味は抜群でした。

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 次に丸太切りに挑戦。”見る”と”やる”とでは大違いです。日本選手団がどれほど大変な訓練をつんだのかが、痛いほどわかりました。
 ちなみに、展示会とは直接関係ありませんが、この世界大会出場に、どれほど多くの人の協力があったかは、このページをご覧いただくとよくわかります。個人的には、青森県グリーンマイスター協議会という団体に、興味を持ちました。

現場人(げんばじん)会議

 

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実際に地域で森林や林業に関わっている者が集まり、林野庁がとりまとめている森林・林業再生プランに提言をしようという会議が10月4日、都内で行われました。

 北海道、東京、長野、岐阜、静岡などから集まったメンバーは、オブザーバーも含め、私のように現場でめしを食っている人の他に、国や自治体の職員、ジャーナリストなど16人(偶然ですが、このうち7人半が信州!)。そして、このプランに深く関わった内閣官房国家戦略室の梶山審議官も忙しい中、まる半日参加してくださいました。

 もともとmixiというSNSから始まったこの会議の論点のひとつは、地域社会と林業には密接な関係があるのに、林産業の効率化のみに集中する施策が、本当に山のためになるのか、そして、ことによると地域を壊すことにもなりかねない、というところにあります。

 会議は、参加者ひとりひとりが感じる問題点や地域の実情などを述べたあと、梶山さんが応答するという形で始まりました。その応答のはじめ、プランの出発点は今適切な管理を怠ると、日本の人工林はダメになってしまうということ。そして国の財政が破綻しており、放置すれば次世代に取り返しのつかないような困難を強いることになるという、ふたつの危機感であることが説明されました。

 全員が内発的に参加した手作りの会議ですから、一言一句が濃密であり、私の能力では量的にも質的にも紹介できませんし、いずれその様子が動画でネット上に流される予定なので、ここでは感想を述べるにとどめます。

 森林組合の技能職員としてIターンし、そこでいろいろな問題を感じながら、同じ境遇の仲間たちとNPOを立ち上げ、その後ひとり親方になったという生い立ちからすると、まず、あまりに明確なために、かえってここに書くことは控えざるを得ない、決定的な目的がこのプランにあるこがよくわかりました。それは実行に移された際に見えてくることでしょう。
 願わくば新年度から始まるショック療法が、地域ごとの運用方法の工夫によって、極力患部だけに効き、(特に意欲ある小規模自伐林家への)副作用の少ない形で良い結果をもたらして欲しいなと思います。そのためには、これからまとめられるはずの私たちの提言が重要なものになります。
 そして副作用をモロに受けそうな信州そまびとクラブと要林産は、集約化と搬出間伐限定という爆風に吹っ飛ばされないよう、今からアンカーをしっかりと足元に打ち込まなければなりません。

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森林で健康になる

ふたつ隣の村、北相木村で、平成22年度の千曲川流域学会秋の研究会が開催されました。テーマは「森林で健康になる」―森林保健活動と地域づくり― です。

 シンポジウムでは、ブログ長屋のお隣さん高力さんも信濃町からはるばる来て下さり、森林療法をとりまく最新の話題を報告してくれました。
 ところが!残念なことに、ここに掲載しようとした大切な画像をロスト。焼酎を飲み、ボーっとしたままPCを操作したのが失敗の原因です。高力さん、ごめんなさい。

 会場となった村の診療所の松橋医師は、以前ここでも紹介したNPO法人北相木りんねの森を主催しており、森林療法はもちろんのこと、自ら森林整備や炭焼き、使われなくなっていた棚田の再生などにも取組んでいます。
 今回の発表では森林回想法という試みも紹介され、会場の約80人(村の全人口の1割にもなります!)は興味深げに聞き入っていました。

 上原巌先生による森林療法の紹介に加え、高力さんの官民協働の町ぐるみでの取組みの紹介には、きっとこの村の人たちも強く感じるものがあったにちがいありません。交付金や助成金ありきではじまる活動ではなく、まずは自分たちで考えスタートする。そういうこれからの地域振興のあり方について、いろいろと思いをめぐらせた午後でした。