青森での取材

 工期に迫られた現場がようやく完了した5月末、取材のために青森県に
おじゃましました。
 
 今回はこれまで経験してきた技術系の話題ではなく、人物の取材。
昭和56年から多くの現場従事者を指導してきた師範のお話をうかがう
というものでした。
 生まれてはじめてのテーマでの取材に、正直ガチガチになっていたの
ですが、そこは数え切れない(のべ、約1万人以上!)作業者と接してきた
大先輩のこと、お会いした瞬間に私の緊張は楽々とほぐされてしまいました(笑)。
 
 一昨年クロアチアで行われた世界伐木チャンピオンシップに、はじめて
エントリーした日本チームの総監督も勤められたその大先輩のお話からは、
技術的なエッセンスはもちろんですが、人と接する際の心構えや、従来の
きこり(先輩はチェーンソーマンとおっしゃっています)としての、この国の
従事者のあり方の問題点が、深い感動とともに伝わってきたのでした。
 
 今年の秋には取材結果が日の目を見る予定です。その際にはまた報告
させていただきます。

町田市小学生の林業体験

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 19、20日の二日間、村にある東京都町田市の施設で、小学生と林業体験を
してきました。

 早いもので、この事業ももう5年めになります。例年通り、一日目は集落の
役員さんたちに指導してもらいながらの除伐体験。二日目は遊歩道づくりを
行いましたが、そろそろ作業に適した場所が少なくなってきました。
 特に遊歩道づくりは、思っていたよりも早く作業が進んでしまい、3年計画の
ところを2年で完成させてしまったので、もしもこの事業が続くようであれば新たな
計画を立てなければなりません。
 
 一日目の夜の自然観察では、これまで声だけの出演だったコウモリが、姿も
見せてくれたので、子供たちも満足してくれたようでした。
 
 遊歩道作りは、単に道を作る作業よりも、階段作りに人気が集まるようです。
次回からはこの経験を活かして、階段が活躍するようなルート選定をしてみる
つもりです。 

知人が熊に。。。

 以前勤めていた森林組合で働く先輩が、昨日、山菜採りに出てクマに
襲われました。50針も縫う大けがだそうです。現場は隣村の南牧村です。
 
 先輩はひとつ年上なので、仮にS兄ぃとしましょう。
 「出会い頭だったの?」との私の問いに、S兄ぃは「どうもこうもねぇ、
いきなり飛んで出てきてさ、耳がもげちまった。子でもいたのかなぁ。」 との
ことでした。耳だけでなく頭部にも傷を負ったそうです。
 これほどの被害に遭ったのに、入院もせず通院治療というのが、なんとも
逞しいですが、ほんとうに大丈夫なのかなぁ?
 
 これまでクマに遭遇しても怖いと思うことはありませんでしたが、身近に
こういうことがあると考えてしまいます。やはり山では常に音を出し続ける
ことにしようとも思います。

 それにしても… S兄ぃには申し訳ありませんが、クマとしても襲うという
態度ではなかったのでしょうね。恐らくは推測どおり、何か守らなければ
ならないものがあったのでしょう。
 山村では、一歩先は野生の世界です。先輩が身をもって教えてくれた、
貴重な教訓です。

道具と技vol6です

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 お知らせしなければと思いつつ、発行から1ヶ月以上が経過して
しまいました。09年10月に発行された1冊目から、ずっとお手伝い
させてもらっている本の最新作を紹介いたします。
 
 今回の特集は搬出間伐です。
 人工林を育てる方法として、この国では一般的に収穫の目標より
もかなり高密度に植林をします。それは植えた木すべてが優良に
育つとは限らないことの保険であり、また、若い木を密植することで、
上へ上へとまっすぐに伸びさせることなどを狙って行います。
 ところが、ある程度成長してくると、今度は太らせるための間引きが
必要になり、間伐を行うわけです。
 
 この間引いた木を、山に捨ててしまわずに、引き出してきて利用
しましょうというのが搬出間伐です。
 
 現在日本の多くの林業地では、木が大きくなり、育てる時代から
利用する時代に入っているため、これをいかに効率的に山から
出すか、という技術が求められています。
 と言うことで、今回の特集が「搬出間伐」になりました。なんだか
あたりまえのようで、実は遅れている…。その背景にはいろいろな
事情があるのですが、長くなるのでここでは省きます。
 
 今回は、広島や岐阜での取材、そして地元川上村でも林業界の
精鋭技術者を招いての記事を書かせていただきました。
 業界の人たち向けの本ではありますが、「妻たちのホンネ座談会」や
「地域発 現場日記」などは、現代のきこり事情がわかる、おもしろい
読み物になっています。「お近くの書店でお手にとって」と言えない
ところが残念ですが、出版元の全国林業改良普及協会のページ
だけでも、ぜひご覧ください。
 
 アマゾンでも取り扱っています。

ヤマブドウ

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 先日の枯れ木に続いて、これも山の嫌われ者、ヤマブドウの蔓です。
嫌われる理由は、大切な木にまとわり付いて、枯らしてしまうから。
 
 この時期、蔓を切ると特に大量の水がしたたり落ちます。この水が
不思議なことに半日くらいするとゼリー状になるのですが、今回はじめて、
それがカチカチになっていることに気づきました。
 
 なんだかとても不思議です。のどが渇いたとき、何の疑問もなく飲んで
いたけれど、いったい何が入っているんだろう。

尾根の枯れ木

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 直径50センチくらいのカラマツの枯死木です。先日間伐作業を完了した
現場の尾根に1本、シカに皮を食われて死んでいました。
 
 間伐作業では、こういう木は真っ先に倒される運命ですが、故意に残して
きました。こんな非常識で自己陶酔型のことをやるのは、日本の民間では
要林産ぐらいかもしれません。
 
 でも、ちゃんと所有者にも説明して(というかお願いをして)残しました。
理由は、たとえ木の畑である人工林でも、生き物の暮らす場所となる
多様な環境を残す、というものですが、枯れ木を残すことで、そこが病害虫の
温床になる、という理論が常識的な考え方です。
 
 もちろん、強風などでいつ折れるかわからない、という危険もありますが、
そういう点では、かなり奥山であるこの場所は問題ないと思います。
 でもひとつ見落としがありました。ここの所有者が納得してくれても、
周囲の所有者には説明をしていません。 …まずいかな??

ドイツ製新車

 導入から、あっという間に2週間以上経過しましたが、新車を紹介します。
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 ドイツのスチールというメーカーから、今年出たばかりのMS201と言う
機械です。
 なんと言っても、軽いことが最大の特徴で、このパワーの機種では
おそらく最軽量だと思います。そして、使っているときの振動がとても
少ない! これは、振動障害を持つ身には嬉しい仕様です。
 
 このメーカーのものを所有したことがなく、一度は使ってみたいと思って
いました。発売されたばかりの機種の場合、それなりにいろいろと苦労が
あるのですが、今回はその苦労も覚悟のうえで、思い切って購入しました。
 今のところ、トラブルもなく、快調に仕事を助けてくれています。
 
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 そして、もうひとつの大きな特徴が、この刃の形状です。刃のカドの部分
が角ばっています。俗に「角刃(かくば)」と呼ばれており、これも以前から
使ってみたかったもの。効果は絶大で、もう全機種をこの刃に換えたいと
考えているほどですが、切れ味が良いだけに、目立てがシビアなので、
かなりの慣れを要します。
 
 新しい機械を入れると、気持ちが高まり、仕事にも熱が入るのですが、
つい夢中になってケガもしやすくなりますので、頭を冷却しながら使って
います。

新入社員研修

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 7日(土曜日)佐久市の大沢財産区で行われた、新入社員研修会の手伝いをしてきました。
 
 これは、県が実施している森の里親制度の一環で、東京にある前田建設工業株式会社が大沢の森の里親になってくださったことをきっかけに、地元大沢財産区と伊那にあるNPO法人森のライフスタイル研究所、信州そまびとクラブが協働で前田建設さんの新人研修のひとつとして、森林内での作業の指導や支援を行っているものです。
 
 大型バス2台に乗ってきた新人の皆さん、スタッフも合わせると70人以上でしょうか。この人たちが何班かに分かれて、林内の作業道作りをしてくれました。皆さん、慣れない鉈や唐鍬(とうぐわ)を使って、時には雪も舞う寒空の下、まる一日作業を行いました。
 
 今週からは、それぞれの配属先で仕事のイロハを勉強し始めた皆さん。いろいろとキツイこともあるでしょうが、どうか体に気をつけて、社会人生活を楽しんでください。いつかまた、この森に遊びに来てくださいね。

改善資金の検査

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 村にある先輩事業体が導入した機械です。
 改善資金という、公の融資を受けての導入だったので、昨日は
その検査でした。
 
 デザインが古臭いのは、中古マシンだからです。でもまだエンジンは
快調。来週から5トンの丸太を積んで、バンバン山の中を走る予定です。

山の履歴2

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 先日お伝えした、炭焼き窯の跡です。
 
 この村に移り住むよりもずっと以前、登山への興味から、タイトルに
山とつく本を片っ端から手に取っていたとき、「山びとの記」(宇江
敏勝著)という新書を読みました。
 今思えば、それが山仕事をしている人の暮らしを知る、偶然の出会い
だったのですが、そこに記されていた炭焼きの暮らしを、実際に職場の
先輩の体験として聞いたときの感動は、実に深いものでした。
 
 当時、薪と炭はエネルギーの主力で、そのエネルギー供給基地だった
村の駅からは、構内に置ききれない薪の束があふれ出し、ずっと離れた
県道まで文化薪の山が積まれていたのだそうです。
 当時の林業現場従事者の多くは、山に作られた小屋に暮らしながら
通勤することが多く、里から離れた山で炭焼きをする人たちも、山に
小屋をかけ、俵に入れた製品を数日間に一度背負い降ろすという生活を
していたのだそうです。
 
 山を買い、石を積んで窯を構築し、伐倒した広葉樹を玉切って、窯の
ところへ人力でまくり落とし、その材料を窯に立て込んで焼く。窯を
冷ましてしまうと効率が悪いので、焼いている間に、次のロットの
準備をして、これらの作業の繰り返しをしなければいけないのですが、
若いうちは遊びたい気持ちが先立ち、ついつい下界へ出たついでに
飲みすぎてしまう。そうすると次の作業が忙しくなり、寝ずに準備を
しなければならなくなる。
 
 まだ自分が生まれたばかりの頃、ここではそんな日々が繰り返されて
いたのだと思うと、この壊れた窯がよみがえり、当時の光景が目に浮かぶ
ようで、妙に落ち着かない気持ちになります。

捜索

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 昨日、八ヶ岳の根子岳東側斜面で行われた捜索活動に参加しました。
 
 3月3日、八ヶ岳の天狗岳(2645)へ向かった登山者が戻らないとの
連絡で、4日に稜線上と空から捜索した結果、転落したと見られる痕跡
しか発見できず、現地は切り立った崖であるため、昨日はそこから
約100m下の雪の斜面での捜索となりました。
 
 丸一日かけて探しましたが、傾斜が35度くらいあり、ここ数日の天候で
現場は雪崩の巣になっており、荒天の中の大変厳しい捜索となりました。
 
 手がかりになるものは見つけることができず、自分たちのトレースさえ
雪崩で飛ばされてしまうような状況だったので、全員で悔しい思いを
しながらの下山となりました。
 
 山は言葉では表現できないほどの魅力をもった場所ですが、一瞬の
油断で遭難する危険を常に秘めています。今回も、想像では転落の
原因が見当たらないような場所だと聞いています。
 
 帰り道、用心の上にも用心を重ねて、山へ登る人たち全員が楽しく
下山できることを願う気持ちで、胸がいっぱいになりました。

山の履歴

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 今朝から伐りはじめた現場です。
  
 画像をクリックしてください。少し大きくなるので林の様子がわかると
思います。中央から右、つまり沢地形の右側は広葉樹の林で、今回は
そこには触らず、左側の真っすぐ伸びているカラマツ人工林の間伐をします。
  
 植林後40年以上経過しています。たぶん沢の右も左も、ほとんど
同じ時期、つまり40年以上前に皆伐して、一度運びだしているはずです。
 後日お伝えしますが、沢に沿って点々と炭焼き窯があるので、すべて
炭にして運び出したのかもしれません。だとすると、もう少し前のことに
なるかと思います。
 
 このように、今ある状態から、そこでどんなことが営まれたのかを
想像するのも、山の楽しみのひとつです。
 ここで炭を焼いていた人は、通っていたのかな? それとも、一家で
小屋をかけて生活していたのかな?
 
 その後、植えたのが左で、そのまま自然に任せたのが右の状態。
まったく表情の違う二つの山から、いろいろ思うことをお伝えしますね。

明日は現場に

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 ようやく動きやすい気温になったかな、と思ったら、昨日の
未明からまた雪。でも「上雪(かみゆき)」と報じられたとおり、
覚悟したほどには積もりませんでした。
 (画像は、我が家のすぐそば。千曲川にかかる本郷橋から)
 
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 今朝の段階でここまで融けてくれました。しかし、まだ林内
はベチョベチョなので、あまりロープを使いたくありません。
仕方なく今日一日は、パソコンの子守りをしていました。

 明日はいよいよ、現場再開です。

ソーチェーン

 久しぶりに、チェーンソーの刃を無駄なく最後まで使うことが
できました。きこりのささやかな喜びです。
  
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 画像上が新品、下が使い古したものです。
 石や土など、ヘンなものをたくさん切ると、目立てをしても刃が
不ぞろいになるため、なかなかすべての刃がこのミニサイズに
なるまでは使えないのですが、今回は、ほぼすべての刃が、
ご覧のサイズに落ち着いたので、得をした気分です。
 
 次の刃も慎重に、上手に使いたいものです。

中古車のスペアタイヤ

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 先週のことですが、ちょっぴり騒動だったので記しておきます。
 
 佐久市にあるスポーツ用品店で買い物をし、帰ろうかと思ったら
愛車サンバーの前輪タイヤがペシャンコになっていました。
 その日の午前は山見で、けっこう厳しい石ころが転がっていたので、
いやな予感がしていたのですが、「こういう予感は当たる」ということが
よくわかりました。
 
 さてさて、お店の駐車場でタイヤ交換です。中古で購入して以来、
はじめてはずして見るスペアでしたが、中古車の場合、用心しな
ければいけないことを学びました。
 スペアタイヤはヒビだらけ。大丈夫かな?と思いつつ交換して
走ろうとすると、空気圧がかなり低い状態です。
 
 走行し始めてスタンドで空気を入れてみましたが、どうも改善
されません。仕方なく、その近くにあった乗用車でお世話になって
いるディーラーへ飛び込んで、パンクした方のタイヤをなおして
もらいました。
 予想通り、パンクしたタイヤには尖った石が刺さっていたそうです。
そして肝心のスペアは、劣化が進んでいて「お気の毒ですがゴミ」
とのこと。
 
 修理代金1500円よりも、1時間以上のロスタイムが痛かった。
備え有れば憂いなしということですね。
 …でも、このスペアタイヤしかない状態で、昨年は高速道路を
何百キロも走っていたわけですから、運が良かったんですねぇ。
 もちろん、いつもお世話になっている川上車両さんへ、新しい
スペアタイヤを注文しましたよ。
 
 ところでまったく無関係ですが、明日は「あずさ2号」で東京
日帰りです。